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厚生労働省 
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト 〜心の健康確保と自殺や過労死などの予防〜より

企業で自殺対策予防に取り組む場合、単に自殺予防のみに取り組むのではなく、

企業全体のメンタルヘルス・ケアに取り組むことが大切です。その結果が自殺予防に結びつきます。

企業が取り組むメンタルヘルス・ケアの進め方については、国が平成18年に

「労働者の心の健康の保持増進のための指針→」を策定しています。

その中で、企業が取り組むべき対策として「4つのケア」が挙げられています。

1 セルフケア

2 ライン(管理監督者)によるケア

3 事業場内産業保健スタッフ等によるケア

4 事業場外資源によるケア

を骨子として、各事業場にとってふさわしい体制を作り上げてゆくことが勧められています。

企業においてメンタルヘルス・ケアを進める場合、最も重要なことは、企業のトップが

メンタルヘルス・ケアの必要性を十分に理解していることです。

その上で、労働者一人一人がメンタルヘルスの問題に日ごろから関心を持ち、

自分や周囲の同僚の心の健康に気を配る環境を作り上げることが重要となります。

そのために、企業は労働者に対する健康教育や相談体制の整備、上司による日頃の

目配りや早期発見、早期対応、また休業した労働者の職場復帰支援の体制づくりなどを

進めることが求められます。

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本当に自殺をとげてしまう方の中には、周りに気づかれないような確実な方法を選ぶことが多いようです。

したがって、自殺に気づかなかった自殺者の身近な人を責めることはできませんし、

自殺の前兆はこれだ、と言い切ることは難しい点があります。

しかし実際には、自殺の直前のサインを発していることもよくみられます。

自殺の直前のサインとして言われているものを以下に示します。

いつもと違う言動・行動が見られるようになります

•急な、場にそぐわないあいさつをする 「お世話になりました」

•不意に実家の仏壇に手を合わせに来る

•不釣合いな時期にお墓参りに行く

•急に明るくなる

•手紙や写真の整理をする

•急に昔の級友や親戚の消息を気にする

•大切なものをあげたり整理する

•急に昔の思い出話をする

•「死にたい」、「生きていても意味がない」としきりに訴える

•「自分が生きているだけでみんなに迷惑をかける」

•「この先ずっと、間違いなくこの(悪い)状況は続く」

心理的には、絶望感・孤独・無価値感などが要注意と言えるでしょう。

周りの方の観察・サポートが大切なことは言うに及びませんが、良かれと思ってはいても、

関わりすぎてしまうと本人の悩みを深めることがあります。

つまり、「周りの人にそこまでさせてしまって・・・だから自分はダメなんだ」という考えに

陥ってしまうということです。

“適度な距離を保ちつつ(考えつつ)関わる”、そのような態度はすぐに身につくものではなく

難しいことですが、日頃からの心がけが大切だろうと思います。

もちろん、これから自分を傷つけることが明白な場合はこれに限りません。

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過労とは、疲労が回復しないうちに、次の疲労が加わり、これが繰り返されて、

疲労が蓄積した状態をいいます。

過労自殺については、仕事により疲労が回復されない状態が続き、これに、仕事上の他の要因、

仕事以外の外部要因、本人の要因などが加わるなどにより、うつ病などの精神疾患にかかり、

自殺に至ることをいいます。

過労の仕事上の要因としては、長時間労働を背景とする睡眠不足によって疲労回復が

阻害されることが最もよく見られます。

仕事上の精神疾患の要因としては、この長時間労働のほか、仕事の質や密度が高いこと、

人間関係が悪いこと(パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントを含みます)、

心理的負荷の大きい出来事に遭遇することなどがあります。

過労自殺の代表的な事例としては、電通事件があります。

「常軌を逸する長時間労働」(平成8年(1996年)東京地裁判決)によりうつ病にかかり、

自殺した入社2年目の社員の遺族が損害賠償請求訴訟を起こしたもので、

平成12年(2000年)、最高裁は、初めて仕事と精神疾患の因果関係を認めて

会社の安全配慮義務違反があると認定し、差し戻しとなった東京高裁において

約1億6800万円を会社が支払うことで和解しました。

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1 背景

 現在、過労死は、一般的には”過度な労働負担が誘引となって、

高血圧や動脈硬化などの基礎疾患が悪化、脳血管疾患や虚血性心疾患、

急性心不全などを発症し、永久的労働不能又は死に至った状態”とされています。

この”過度な労働負担”は労働時間が重視されていて、過労死防止の国の

取り組みの中でも重点的な課題です。

 しかし、だからといって「過労死と生活習慣は関係がない」と考えるのは間違いです。

上記のように過労死と生活習慣病の関係はまったく否定できるものではなく、

個人の立場では「過労死は生活習慣病と無関係ではなく、よい生活習慣を保つことは

大切だ」と考えるべきなのです。

2 過労死と生活習慣

 それでは、過労死を防止するために生活習慣のどんな点に気をつければよいでしょう。

過労死のうち心臓病は、仕事や生活習慣との関係についてよく調べられていて、その結果は示唆に富んでいます。

 まず、高血圧や高脂血症、糖尿病など生活習慣病や喫煙は明確に発症のリスクだということです。

 さらに注意すべき点は睡眠と抑うつです。


睡眠時間が6時間未満の場合はあきらかに発症のリスクが高まります。

また、一般にはそれほど知られていないようですが、抑うつは自殺だけでなく、

心臓病のリスクでもあることは医学的には明らかで、上記の調査研究でも確認されています。

3 過労死防止の生活習慣

 上記のことから、過労死防止には、生活習慣病は医師等のもとで適切に管理する、

その上で、

a.生活習慣病の予防・改善のためバランスのよい食事と適度な身体活動

b.禁煙を心がける

c.睡眠時間を確保してストレスや抑うつ感をため込まないこと

が大切です。

 つまり、適度な身体活動と禁煙、さらには充分な睡眠でリフレッシュを心がけることが

過労死防止の大切な生活習慣のポイントと言えるでしょう。

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 過労死の認定基準としては労働時間が最も重要ですが、認定基準に満たない労働時間であっても、

時間外労働時間が月80時間程度の場合は過労死の可能性を否定できないことから、

労働時間以外の負荷要因の有無などを参考に判定されることになっています。

このなかに作業環境も含まれていますので、作業環境の改善は過労死防止に役立つといえます。

具体的には、温度環境、騒音環境、時差を伴う移動の頻度などが挙げられています。

執務室内温度の調整は重要ですが、冷暖房も度を超すとストレス源となりますので注意が必要です。

また狭い室内に多くの人がすし詰めになっている執務室とか、悪臭があったり周囲の騒音が

ひどかったり机上照度が十分でない執務室など、劣悪な作業環境は心身の疲労を増加させます。

逆に快適な作業環境は心身のストレスを軽減しますので、過労死防止のために快適な職場環境・

作業環境の確保はとても大切なのです。

事業者が快適な作業環境を作ろうとするときは、事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための

措置に関する指針(平成4年7月1日労働省告示第59号。平成9年9月25日労働省告示第104号に

より一部改正)を参考にするとよいでしょう。

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【使用者側】

(1)労働時間の短縮を図る。
 労働時間の短縮については、

ア システム開発の見積を適切に行い、工程や人員の確保を適正に行うこと

イ 顧客からの急な仕様変更は過重労働の要因として最も多く、どの時点まで

  仕様変更を受けるか等、あらかじめ対応を顧客との間で明確にしておくこと

ウ トラブルの発生などによるシステム開発の大幅な工程遅延の場合は、

  工程の再設定を顧客と交渉すること

 などがあります。
 

(2)健康診断受診率の向上を図る。 

 システムエンジニアは顧客先に常駐することが多いため、健康診断や面接指導は

産業保健スタッフが顧客先に出向いて実施することも有効です。

(3)事後措置を徹底する。

(4)睡眠時間の確保への配慮を行う。

 業務が深夜に及ぶような場合には、ホテルの確保やタクシーによる帰宅など、睡眠時間を確保できるよう支援が必要です。

【労働者側】

(1)自らの過労を認識する。

(2)高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病やメタボ防止に日常から取り組む。 
  
  治療している疾患は確実に治療を継続する。

(3)健康診断や面接指導を進んで受ける。

(4)就業制限などがあれば遵守する。

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残業をしても残業したことを申請せず残業代を請求しないこと、あるいは残業をさせたにも関わらず

残業代を支払わないことを「サービス残業」と呼んでいます。

残業は所定の労働時間以外に特別に働くことですので、時間外労働に関する協定

(36協定:サブロク協定)を労使で結んで所轄労働基準監督署に届け出ること、

時間外労働に対して25%以上の割増賃金を払うことが労働基準法で決められています。

残業させたにも関わらず割増賃金を支払わない場合、つまり「サービス残業」をさせた場合には、

「割増賃金不払い」違反として、会社と責任者が罰せられます。

「サービス残業」は、長時間労働からくる過重労働によって健康障害の原因となっている場合が多くあります。

平成22年4月からは、時間外労働時間が月60時間を超える場合には、割増賃金の率が50%に

引き上げられるという内容の労働基準法改正がなされています。

過重労働の温床の一つであるサービス残業(賃金不払い残業)に対する行政の対策としては

「賃金不払の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」(平成15年5月23日)が出されています。

この指針で示された事業場が労使一体となって取り組むべき事項としては

1 サービス残業のチェック機関である企業内労使協議組織を設置すること

2 勤務時間の自己申告を原則禁止し、客観的なシステムで管理すること

3 サービス残業を行った労働者も、これを許した現場責任者も業績評価しないこと

4 過去にサービス残業があった職場では、指示系統が異なる複数の責任者を設定すること

5 企業トップが直接情報を把握できるような投書箱や専用電子メールアドレスを設定すること

等が示されています。

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疲労の蓄積度は、現在のところ厚生労働省が公表した疲労蓄積度自己診断チェックリストを

用いて測定されるのが一般的です。

疲労蓄積度自己診断チェックリストには、労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリストと

家族による労働者の疲労蓄積度チェックリストがあります。

また、インターネット上でできる総合判定プログラム(中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター)

もあります。

しかし、自覚症状と勤務の状況評価が乖離する場合もあるので、過重労働に係る面接指導では

医師により診察時の問診結果も総合して評価されます。

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過労死、過重業務による脳・心臓疾患の基本的な考え方は、

業務による明らかな過重負荷が加わることによって、

血管病変等がその自然経過を超えて著しく増悪して発症するものであり、

それに該当する例は業務に起因することの明らかな疾患として取り扱われます。

ここでの脳・心臓疾患とは、上記のような経過で発症する脳血管疾患及び

虚血性心疾患等を指しており、労災認定基準(平成13年12月12日付け基発第1063号)により、

対象疾患として示されている疾病が下記の通り明記されております。

1.脳血管疾患
(1) 脳内出血(脳出血)
(2) くも膜下出血
(3) 脳梗塞
(4) 高血圧性脳症

2.虚血性心疾患等
(1) 心筋梗塞
(2) 狭心症
(3) 心停止(心臓性突然死を含む。)
(4) 解離性大動脈瘤

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仕事の能率をあげて、労働時間内に仕事を終えることができるように

努力することが基本的な解決方法です。

そのための第一歩は、時間外労働は本来臨時的に行うべきものであることを再確認すること、

健康確保と生産性向上のため長時間労働は排除しなければならないという「課題」であることの

認識を持つこと、であると考えられます。

次に、特定の従業員の非能率・長時間労働の実情がある場合に、原因を把握して対策を考える

必要があります。

上司がご本人や周囲の同僚などに聴くことが必要ですが、叱りつけるのではなく、

改善への意欲を引き出すために上手な対応が必要でしょう。

原因が判明した段階では、解決への方法を検討することになります。

その方法も改善効果を評価しながら、必要な場合は方法の変更も視野に入れる弾力性が求められます。

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