Monthly Archives: 1月 2017

 

 

Q:懲戒処分を行う場合の留意点は?

 

 

 

 

A:第一に、ハラスメントが懲戒処分の対象となること、

 

懲戒の事由、種類や程度を就業規則等に明記し、

 

従業員全員に周知徹底させておく必要があります。

 

 

パワーハラスメントの事実が認められた場合には、

 

人事部門等と連携を取り行為者への措置を取りますが、

 

できる限り相談者の意向を尊重した対応に努めます。

 

 

処分については慎重・公平に行うのはもちろん、

 

当事者への説明も十分に行う必要があります。

 

 

厚生労働省~あかるい職場応援団~

 

 

 

 

Q:パワハラ防止を打ち出すと指導や教育が難しくなると

管理職からの反発があります。

 

 

A:管理職は部下を指導・育成する責務があり、時には厳しい

 

指導や叱ることが必要な場合があります。

 

 

自身が権力・パワーを持っていることを自覚し、パワー

 

ハラスメントがもたらす自身や職場全体への影響、

 

デメリットを理解して、日頃のコミュニケーションの取り方や

 

パワーハラスメントととられない指導の方法を身に着けること

 

が必要です。

 

 

管理職研修などで指導法やアサーション、アンガ-マネジメント

 

などのスキルを身に着けていきましょう。

 

※アサーション :相手の気持ちや考えを尊重しながらも、

自分の気持ちや考えをその場に適切な表現で相手に率直に伝えるスキル

 
※アンガ-マネジメント :自分のアンガー(イライラや怒りの感情)

を理解して癒したりポジティブな方向へ展開する等上手に

コントロールするための手法

 

 

厚生労働省~あかるい職場応援団~

 

 

 

 

Q:社内に相談窓口を設置する人員と予算の余力がありません。

良い方法はありますか?

 

 

 

 

A:人員や予算を考慮して、管理職や従業員を相談員に選任し

 

相談対応を行う、コンプライアンスの相談窓口と一体的にするなど、

 

自社で実施しやすいような方法をとるとよいでしょう。

 

 

また、各種ハラスメントは複合的に起こることも想定されることから、

 

セクシュアルハラスメントやいわゆるマタニティハラスメントの

 

相談窓口と一体的に運営することが望ましいでしょう。

 

 

厚生労働省~あかるい職場応援団~

 

 

 

 

 

~同じことを繰り返す行為者への対応例~

 

 

課長Aが、部下を個室に呼び出して長時間怒鳴りつける

 

ことが日常的に行われており、職場に来られなくなった

 

部下が出てきてしまっているとの通報が窓口にありました。

 

 

匿名による通報であったため、被害者本人による通報か、

 

第三者による通報か確認できなかったものの、相談窓口担当者と

 

人事部との間で対応を検討し、状況を把握するために、

 

行為者の上司へ事実確認を行うこととしました。

 

 

事実確認は、人権啓発室の室長と行為者の上司にあたる

 

部長Bの2人の間で行われました。

 

部長Bは、状況をある程度把握していましたが、

 

業務上必要な指導の範囲と認識。

 

しかし、行為者は課長に昇格して日が浅いこともあり、

 

普段から行き過ぎた言動が見受けられ、部下への配慮が

 

欠けているとの意見が伺えたため、部長Bを通じて注意・

 

指導を行うこととしました。

 

 

 

課長Aへの注意・指導は、周りに話が漏れないよう会議室を

 

準備し、部長Bと課長Aの2人で行いました。

 

部長Bが、怒鳴りつけることは業務上の指示・指導に必要な

 

ものではないことを伝え、今後は慎むよう注意を行いました。

 

 

課長Aは、大声で叱った事実は認めたものの、業務遂行上

 

必要な処置であり、部下の業務の進め方では、納期に間に

 

合わないとし、人格や尊厳を損なう言動はないと認識しており、

 

当初は注意を受けていることに不服な様子が伺えました。

 

 

 

しかし、部下に直接指示を行う立場にある課長として、

 

相手の置かれた状況や心情、心身の調子に十分な配慮が

 

必要であることを丁寧に伝えていくことで、次第に

 

通報内容を真摯に受け止め、今後は言動を改めることを

 

約束するに至りました。

 

 

 

課長Aには、管理職としてのスキル向上のための

 

リーダーシップ研修、アンガーマネジメント研修、

 

アサーション研修などの受講を指示するとともに、

 

部長Bが日常的に納期に遅れる部下に対する指導方法を

 

課長Aと検討することとしました。

 

 

厚生労働省~あかるい職場応援団~

 

 

 

 

~相談者が報復を受ける不安への対応例~

 

相談者は、先輩従業員から、自身の体型について揶揄され、

 

痩せることを強要される、毎日のように体重の報告を求めて

 

くるなど、業務とは関係のないことを強いられ、出社するのが

 

苦痛であるとの相談が窓口にありました。

 

 

相談者の了解の下、行為者に事実確認をした結果、相談者の

 

申告どおり、日常的に業務の範疇を超えた対応を強いられて

 

いる状況であることが確認できました。

 

 

事実調査を担当した相談担当者と総務部の課長の2名より、

 

相談者に調査結果の説明を行いました。

 

 

行為者へ事実確認の内容を説明し、行為者本人が事実を

 

認めていること、会社は本事案の原因は行為者側にあると

 

判断していること、行為者本人も反省している様子で

 

あったことを相談者に伝えました。

 

事実確認の内容については、おおむね納得した様子でした。

 

一方で、今後の会社としての対応措置を検討するにあたり、

 

相談者の希望を確認したところ、相談者は、行為者の顔をみると

 

ドキドキしてしまうことから、行為者の異動を希望し、

 

異動が不可能であるならば、行為者に対する会社からの処分を

 

望んでいました。

 

行為者の要望を踏まえて、人事部の部長と課長は、相談者が

 

所属する部署の責任者である本部長と検討を重ね、相談者と

 

行為者が業務上接点を持たない体制変更を行うこととしました。

 

 

対応案の決定を受けて、体制変更を行う考えがあることを

 

人事部長から相談者に説明を行い、今後は行為者との接点が

 

なくなることで、相談者の了解を得たものの、相談者は、

 

行為者から報復を受けないどうか不安な様子でしたので、

 

行為者の上長から強く注意・指導を行うとともに、

 

今後半年間は、相談者と相談担当者、人事部の課長の

 

3名で定期的に面談を行うこととしました。

 

 

加えて、健康管理の観点で、定期的な産業医との面談を薦めました。

 

厚生労働省~あかるい職場応援団~

 

 

 

 

 

~行為がエスカレートしていった事例~

 

 

作業手順が遅い従業員を先輩従業員が暴言を吐くなどが

 

頻繁にありました。

 

 

最初は、作業手順などを丁寧に教えていましたが、なかなか

 

作業を覚えない後輩従業員に対して、

 

「お前は本当にばかだ。早く辞めろ」などの暴言をするように

 

なっていきました。

 

 

それを見ていた同じ職場の同僚は、上司に相談していましたが、

 

先輩従業員が指導の一貫として行っている行為と見ており、

 

特に対応をしていませんでした。

 

 

しかし、先輩従業員の行為は次第にエスカレートし、暴言が

 

連日続き、後輩従業員の作業着や備品を蹴飛ばすなどの

 

行為も見られたことから、同じ職場の同僚は心配になり、

 

第三者として相談窓口に通報を行いました。

 

 

相談を受けた相談窓口の担当者は、総務部長と相談し、

 

相談窓口担当者と総務部長で後輩従業員本人(被害者)と

 

同じ職場の4~5名に事実確認を行いました。

 

 

事実確認を行った結果、1年以上にわたる暴言がなされて

 

いたことがわかり、すぐに先輩従業員(行為者)を

 

自宅待機(処分確定ではないので、有給休暇扱い)とし、

 

総務部長が先輩従業員(行為者)との面談を重ねました。

 

 

第三者から通報を受けてから1ヶ月程度の間に事実確認を

 

行うとともに、就業規則に基づき、総務部長が指名した

 

懲戒委員会メンバーで処分の検討を行いました。

 

 

結果、先輩従業員(行為者)と看過していた上司への

 

懲戒処分ならびに先輩従業員(行為者)を別の支店に

 

異動させました。

 

 

再発防止策として、従業員全員に対してパワハラへの理解を

 

深めるための研修を行いました。

 

 

厚生労働省~あかるい職場応援団~

 

 

 

 

 

~パワーハラスメントがあったと判断できないが、

事態が悪化する可能性がある例~

 

上司に質問をしても「なぜわからないのか」と言われ、

 

「頭が悪い」、「朝10時に今日はもう帰ってもいい」などの

 

罵声をこの半年毎日のように浴びせられているという相談が

 

相談窓口にありました。

 

 

相談にあたっては、外に声が漏れない部屋を用意して、

 

相談担当者男女2名が、落ち着いた気持ちで話してもらえる

 

ように配慮しました。

 

 

相談者が「会社としての対応」を希望したために、行為者に

 

事実確認を行うこととしました。

 

 

事実確認にあたっては、相談担当者1名と管理職への教育などを

 

担当している人事部の副部長の2名で対応することとしました。

 

また、行為者には、秘密厳守であることと報復などがあっては

 

ならないことを最初に告げて事実確認を開始しました。

 

 

行為者は、大きな声で叱ったり、指導したりした事実は認めたものの、

 

それがパワハラに該当する罵声や罵倒にあたる言動であるという

 

認識は持っていませんでした。

 

 

そのため、相談者の了解を得た上で、職場の第三者にも事実確認を

 

行いましたが、外勤の多い営業職の従業員がほとんどだったため、

 

事実関係をはっきりと確認できませんでした。

 

 

そこで、パワハラがあったと判断できないけれども、このままでは

 

事態が悪化する可能性があるとして、部下に指導する際には、

 

怒鳴ったり、人格を攻撃することは望ましくないこと、

 

部下の仕事の行い方にどのような問題があったのかを具体的に指摘し、

 

改善することが上司の役割であること、について行為者と繰り返し

 

話し合い、理解を促しました。

 

 

複数回の話し合いの結果、行為者は次第に言動に変化がみられる

 

ようになっていきました。

 

 

厚生労働省~あかるい職場応援団~

 

 

 

 

 

 

相談対応のうまくいった例
~女性従業員の悩みをうまく聞き出せた例~

 

ある日、ハラスメント相談窓口に女性従業員より相談

 

の電話がありました。

 

 

「どのようなことでお困りでしょうか」と聞いても、

 

言い出し辛いような様子が伺えたため、同性である女性の

 

相談担当者に電話を引き継ぎました。

 

 

当初、相談者は何から話せば良いのか困った様子で言い淀んで

 

いたので、「間」を大切にしつつ、お互いの信頼関係の形成を

 

意識しながら傾聴していくことで、徐々に警戒心が説かれ、

 

相談内容に入ることができました。

 

 

 

女性従業員は、現在、取引先のお客様先に出向しており、

 

出向にあたり上司から大事な取引先であり、上手くやるように

 

と念を押されていました。

 

出向先のグループリーダから飲み会の誘いを受けたものの、

 

家庭の用事があったために参加を断ったところ、翌日から

 

当該リーダや数名の従業員に挨拶をしても無視されるように

 

なったほか、書類のコピー等、簡単な作業しか仕事を任され

 

なくなりました。

 

出向元の上司から念を押されていることもあり、事態の解消を

 

自分から言い出すことができずに、3か月経過したところでした。

 

 

一通り相談者の状況を確認したところで、すでに1時間を経過

 

していたため、今後の対応については、後日、改めて電話で

 

相談を受けることとしました。

 

 

後日、相談者は会社としての対応(事実調査など)を希望される

 

とのことでしたので、今後の会社としての対応プロセスを確認し、

 

改めて担当者から連絡することとしました。

 

 

相談窓口担当者は、相談内容を相談管理票に記載するとともに、

 

「会社対応の希望ありの事案」として、ハラスメント調査の

 

責任部門にあたる人事部への引き継ぎのため、報告を行いました。

 

 

厚生労働省~あかるい職場応援団~

 

 

 

 

 

相談対応のうまくいかなかった例(2)
~相談者に了解を得ずに事実確認をしてしまった例~

 

 

ハラスメント相談窓口に、管理職の男性が青い顔をして訪ねてきました。

 

当該男性管理職は、部下3人が業務時間中にひそひそと自分の悪口を

 

話していることを小耳にはさみ、自分が仕事を頼むと

 

「今、必要ですか?今じゃなくてもいいんじゃないですか」と言ったり、

 

舌打ちをしたりもします。

 

外出先から電話をしても、業務が忙しいことを理由に電話口に

 

でないことさえあるということでした。

 

相談担当者は、急ぎ対応した方が良いと考え、相談者に了解を得る

 

ことなく、該当の部下3人に事実確認を行ったところ、あっという間に

 

職場中に当該管理職が相談に行ったことが知られてしまい、

 

問題がこじれてしまいました。

 

 

【事実関係の確認が必要!!】

 

  • 相談者の了解を得た上で、行為者や第三者に事実確認を行いましょう。
  • 行為者に対して事実確認を行う際には、中立的な立場で行為者の話を聴きましょう。また、相談者の認識に誤解があった場合にも、報復などは厳禁であることを伝えましょう。
  • 相談者と相手の意見が一致しない場合には、同席者や目撃者は、同様のパワーハラスメントを受けている者に事実関係の調査を行います。
  • 第三者に話を聞くことで、当該問題が外部に漏れやすくなるので、第三者にも守秘義務について十分理解してもらい、事実確認を行う人数は、できる限り絞りましょう。
  • 相談者、行為者、第三者の意見が一致するとは限りません。それぞれの主張を合理的に判断する情報と考えるようにしましょう。

 

厚生労働省~あかるい職場応援団~

 

 

 

 

相談対応のうまくいかなかった例(1)
~相談窓口担当者が勝手に判断してしまった例~

 

ある日、ハラスメント相談窓口に男性従業員より

 

匿名で相談の電話がありました。

 

 

当該従業員は、女性上司が子どもの学校の成績、共働きの

 

妻の年収、休日の過ごし方などのプライベートについて、

 

根ほり葉ほり聞いてくることが苦痛であるということでした。

 

そのため、女性上司に悪気はなく、業務を指示するにあたり、

 

部下のプライベートな事情や生活状況等を考慮することを

 

目的で聞いているのだから、パワハラにはあたらないと話した

 

ところ、相談者は怒った様子で「じゃあ、もういいです。」

 

と告げて、電話が切られてしまいました。

 

 

【事実関係の確認が必要!!】

 

  • 相談者の了解を得た上で、行為者や第三者に事実確認を行いましょう。
  • 行為者に対して事実確認を行う際には、中立的な立場で行為者の話を聴きましょう。また、相談者の認識に誤解があった場合にも、報復などは厳禁であることを伝えましょう。
  • 相談者と相手の意見が一致しない場合には、同席者や目撃者は、同様のパワーハラスメントを受けている者に事実関係の調査を行います。
  • 第三者に話を聞くことで、当該問題が外部に漏れやすくなるので、第三者にも守秘義務について十分理解してもらい、事実確認を行う人数は、できる限り絞りましょう。
  • 相談者、行為者、第三者の意見が一致するとは限りません。それぞれの主張を合理的に判断する情報と考えるようにしましょう。

 

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