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労働基準法その他の法令において、特定の年齢層の就労が禁止・制限

されている業務については、年齢制限をすることが認められる例外事由です。

【認められる事例】

○18歳以上の人を募集(労働基準法第62条の危険有害業務)

1.使用者は、満18歳に満たない者に、運転中の機械若しくは動力伝導装置の

危険な部分の掃除、注油、検査若しくは修繕をさせ、運転中の機械若しくは

動力伝導装置にベルト若しくはロープの取付け若しくは取りはずしをさせ、

動力によるクレーンの運転をさせ、その他厚生労働省令で定める危険な業務に

就かせ、又は厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。

2.使用者は、満18歳に満たない者を、毒劇薬、毒劇物その他有害な原料若しくは

材料又は爆発性、発火性若しくは引火性の原料若しくは材料を取り扱う業務、

著しくじんあい若しくは粉末を飛散し、若しくは有害ガス若しくは有害放射線を

発散する場所又は高温若しくは高圧の場所における業務その他安全、衛生又は

福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。 

3.前項に規定する業務の範囲は、厚生労働省令で定める。

○18歳以上の人を募集(警備業法第14条の警備業務)

 警備業法第14条では、警備業務の適正な実施のため直接従事する警備員について次に該当するものは、警備員となってはならず(法14条第1項)、警備業者はこれらの者を警備業務に従事させてはならない旨が定められています(法14条第2項)。

① 18歳未満の者

② 法第3条1号から7号までのいずれかに該当する者

・法3条1号 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの

・同条2号 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に

処せられ、その執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しないもの

・同条3号 最近5年間に、この法律の規定、この法律に基づく命令の規定若しくは

処分に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反する重大な不正行為で

国家公安委員会規則で定めるものをした者

・同条4号 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な

行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる

相当な理由がある者

・同条5号 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第12条若しくは

第12条の6の規定による命令又は同法第12条の4第2項の規定による指示を

受けた日から起算して3年を経過しないもの

・同条6号 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤中毒者

・同条7号 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として

国家公安委員会規則で定めるもの

【認められる事例】

○定年が60歳の会社が、60歳未満の人を募集

【認められない事例】

×60歳未満の人を募集(契約期間1年。更新あり)

実態として、有期労働契約を更新し続ける場合であっても、個々の契約は

期間の定めのある労働契約であるため、このような記載は認められません。

×【60歳未満の人を募集(定年が63歳)】

上限とすることができるのは、定年年齢であって、それ以外の年齢は認められません。

×【40歳以上60歳未満の人を募集(定年が60歳)】

例外事由1号に該当することを理由として年齢制限をして募集・採用を行う場合には、

下限年齢を記載することはできません。

【×○○業務の習熟に2年間必要なため、58歳以下の人を募集(定年が60歳)】

募集している職務について既に十分な職務経験を有する人が応募することも想定され、

また、求人に「職務の習熟に○年程度の期間が必要」である旨を明記すれば、

一律に年齢で制限をする必要はないため、認められません。

労働者の募集および採用の際には、原則として、年齢を不問としなければなりませんが、

例外的に年齢制限を行うことが認められる場合があります。

このとき、上限(65歳未満のものに限る)を定める場合には、求職者、職業紹介事業者等

に対して、その理由を書面や電子媒体により提示することが義務づけられています。

-高年齢者雇用安定法第18条の2第1項

年配者の視点を生かせると同時に、助成金の活用も可能に!

体が大きく力のある入所者のお世話をする必要があることを理由に、

「体力のある若い方」の採用を希望していたが、

「年配者でも体力のある方がいること、人のお世話をする仕事であれば、

ある程度年齢を重ねている方のほうが何かと気付く点が多いこと」

などをハローワークで説明を受け、年齢不問の求人を出した。

結果、60歳の女性を採用。

フットワークが軽く人柄も良い方だった。

また特定求職者雇用開発助成(※)の対象者で、助成金を受給できたことも

ありがたかった。

現在では高齢者雇用を非常に前向きに考えるようになった。

(※)ハローワーク等の紹介により、高年齢者(60歳以上65歳未満)、

障害者などを継続して雇用する労働者として新たに雇い 入れた

事業主に対して賃金相当額の一部の助成をする制度。

幅広い年齢層の視点を取り入れることで、思わぬメリットが生まれます!

これまで30歳までの方を対象にした求人を行ってきたが、

ハローワークの指導もあり、年齢不問の求人を出した結果、

50歳代の方を採用した。

その結果、年配のお客様から、

「若いスタッフより同年代のスタッフの方が自分の好みを伝えやすく、

利用しやすい」との思わぬ嬉しい声を多数いただくようになり、

幅広い年齢層のお客様のニーズに対応する上では、

年配のスタッフの採用も効果的であることに気が付いた。

その考えは思い込みかも・・・能力や適性は千差万別。年齢では測れません!


旅館の受付・会計・食堂配膳・片付けなどの職務内容。

年齢不問で募集したものの、パソコン操作による作業や夜間勤務もあるため、

若い人でないと難しいのではという先入観がどこかにあった。

40歳と28歳の2名の応募があり、両者と面談した結果、

パソコン操作もできて職務経験もあった40歳を採用することとなった。

年齢だけでは判断できないことが分かったので、今後の求人についても

年齢にとらわれることなく、実際に会って人物で判断したいと思った。

年齢の募集幅を広げると、求める求職者が集まりやすくなります。

フロント係の求人について、人材育成を重視し、若年者を募集していたが、

応募者がなかったり、経験不足などで長続きしない状態だった。

このため、募集年齢の上限を定年前までとしたところ、複数の応募者があった。

年齢にはこだわらず、営業経験のある中高年の方との面接を行ったところ、

適性、能力があると判断し採用に至った。

採用後は、営業経験を生かした接客態度で人当たりが良く、お客様にも大変評判がよい。

また、落ち着いた態度で貫禄もあり、トラブル時の対応もしっかりしていることから、

他の従業員からの信頼も厚い。

 労働者の募集・採用の際は、原則として、年齢による応募資格の制限や

採否の決定を行うことはできません。

 この年齢制限の禁止は、ハローワークを利用する場合をはじめ、

民間の職業紹介事業者、求人広告などを通じて募集・採用をする場合や、

ホームページなどを通じて直接募集・採用をする場合などにも広く適用されます。

 年齢にこだわらない募集・採用は、職場にどのような変化をもたらしてくれるのか…

明日からはその事例を掲載致します。

 年齢不問として募集・採用を行うに当たっては、職務に適合する労働者であるか否かを、

個々人の適性、能力などによって判断しなければなりません。

 このため、募集に際しては、職務を遂行するために必要とされる労働者の適性、能力、

経験、技能の程度など「応募者に求められる事項」をできる限り明示することが大切です。

-雇用対策法施行規則第1条の3 第2項

NGその1

【若者向け洋服の販売スタッフとして、30歳以下の人を募集】

↓  (業務内容を明示してください)

【洋服販売スタッフ募集(年齢不問)】

 当社がターゲットとするファミリー向けの商品に関する情報を提供し、

また、販売促進のため必要に応じ商品を着用して、当社商品を販売する接客業務です。

NGその2

【長距離トラックの運転手として、45歳以下の人を募集】

↓  (業務内容と必要な能力などを明示してください)

【長距離トラック運転者募集(年齢不問) 】

長距離トラックを運転して、札幌から大阪までを定期的に往復し、

資材(○kg程度)を上げ下ろしする業務であり、この業務を継続していくためには、

持久力と筋力が必要です。

NGその3

【会計事務を行うスタッフとして、 30歳以下の人を募集】

↓  (業務内容と必要な能力などを明示してください)

【会計事務スタッフ募集(年齢不問) 】

パソコンを操作しての伝票起票、会計ソフトでのデータ入力など

経理事務全般を行う業務であり、簿記に関する知識(日商簿記2級程度)が必要です。

NGその4

【高所作業を行う業務のため、 55歳以下の人を募集】

↓  (業務内容と必要な能力などを明示してください)

【高所作業員募集(年齢不問)】

建設現場における高所(10m以上)での作業を行う業務であり、

この業務を継続していくためには、持久力と筋力が必要です。

~厚生労働省労働局冊子より~


 年齢制限禁止の義務化は、個々人の能力、適性を判断して募集・採用することで

一人ひとりにより均等な働く機会が与えられるようにすることを目的としています。


 年齢制限を設けて募集・採用を行うことは、職を求める高齢者や年長フリーターなどの、

応募・就職の機会を閉ざしてしまうことにつながりかねません。


 少子高齢化が急速に進展するなかで、日本の就業者数は、2020年には2009年と比較して

433万人減少することが見込まれており(※) 、若者や高齢者などの就業の促進が重要な課題となっています。

(※)「雇用政策研究会報告」(2010年7月)


 「年齢不問」としながらも、書類選考で実質的に年齢制限しているケースも見受けられます。

人柄や意欲などは、書類選考だけでは適切に判断することができないものです。

書類選考だけでなく、実際に面接をして判断することが、求める人材の採用につながります。

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