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厚生労働省 
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト 〜心の健康確保と自殺や過労死などの予防〜より

厚生労働省の「患者調査」(平成11年、14年、21年)によれば、

1996年から2005年の10年間で、うつ病と診断される人が2倍に増加に増加し、

2009年には100万人を超えたことが報告されました。

うつ病が増加した最も大きな要因は、社会の多様化に伴いあらゆる場面でストレスが増加し、

うつ状態が増加する土壌ができているのではないかと推定されています。

また、米国精神医学会の診断基準(DSM-IV)が導入されて、いくつかの診断項目があれば

うつ病と診断されることになって、うつ病と診断される人が、従来診断のうつ病から

神経性うつ病、適応障害、ストレス障害まで幅広く診断されるようになった可能性があります。

さらに、1999年にわが国にも副作用が少ないとされる選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が、

2000年にセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が発売されて、

製薬会社は、うつ病の啓発に力を入れました。

その結果、精神科や心療内科だけでなく、内科や婦人科などの一般身体科でも

うつ病と診断される患者が見い出されて、これらの薬剤が精神科以外の診療科でも

処方されるようになったことも、うつ病診断を増加させたと考えられます。

このようなうつ病の啓発活動によって、従来精神科受診を躊躇した方々に対して

精神科受診への敷居を下げた効果もあったと考えられます。

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精神障害に限らず、病気を治す期間は主に2つに分かれます。

前半が療養に専念する期間、後半が復帰に備える期間=リハビリの期間、となります。

たとえば重症の捻挫を想像してみましょう。

前半は痛くて動けませんので固定・安静、腫れと痛みがひいたら

後半は固定して硬くなった関節を動かし可動範囲を広げ、元の生活が可能となります。

つまりリハビリ期間に入るには、日常生活を送る上で症状による支障が

ほとんどなくなっている状態が必要となります。

うつ病を例にしますと、憂うつな気分である、不安や緊張でビクビクする、

嫌なことばかり考えて眠れない、など苦痛な症状がほぼ改善している状態

ということになります。

自覚症状が強く苦痛が大きい時期は、まだ療養に専念する期間と考えましょう。

自分がどの期間にあるのか、主治医にも相談するとよいでしょう。

リハビリ期間の過ごし方として重要な点は主に3つあり、

ⅰ.睡眠・食事のリズムの確立、ⅱ.就業を想定した日中活動、およびⅲ.これらの継続性、

ということになります。

ⅰ.適切な睡眠および食事のリズムですが、久々の就労というストレスの海に

飛び込んで泳ぎ続けることになります。そこに必要な体力の維持のための基本中の基本です。

ⅱ.就業を想定した日中活動ですが、最近はリワークプログラムなどを設置した病院もありますが、

ひとりでも行うことも可能です。

しかし自分の意志が必要になります。

たとえば毎朝図書館に通っての作業です。

そこでの過ごし方も段階的に作業レベルを上げていくことも工夫次第。

たとえば、新聞のある部分を読むこと。

それが問題なく出来るようになれば、

その部分をノートに書き写す→写すだけでなく要点をまとめる→まとめるだけでなく私見を述べる。

少しずつステップアップが出来るのです。

また特に都市部では独特な緊迫感のある通勤時間帯のラッシュを体験しておくことも役立ちます。

通勤訓練などとも呼ばれていますが、この準備なしに復帰して消耗してしまう方も珍しくありません。

ⅲ.継続性ですが、仕事は1週間後も1か月後も1年後も続きます。

ある程度の期間続けて出来ていることも、復帰の準備としてたいへん重要な要素となるでしょう。

ただ、長距離走ですので、短距離走のようなスピードは不要です。

会社によっては、「試し出勤制度」などが設けられている場合があります。

基本的には上記のようなリハビリの期間を経過し、業務遂行の準備が整っている上で行うものです。

その運用は会社によって異なりますので、上司や人事労務、産業保健スタッフなどにお尋ねください。

上手に利用することにより円滑な職場復帰が期待できます。

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心の健康問題で休業した労働者に対して主治医の判断により復職診断書が発行され、

産業医が精査した上で、事業者に職場復帰に関する意見を述べることになります。

しかし、必ずしも主治医と産業医の意見がすべて一致するわけではありません。

主治医による診断は、日常生活における病状の回復程度から復職の可能性を

判断していることが多く、職場復帰後職場で求められる業務遂行能力が

まだ回復しているとの判断とは限らない場合があります。

職場復帰は、就業規則等に定められた就業時間内労働を可能とする

業務遂行能力が回復していることが前提となります。

そのため、適正な睡眠覚醒リズムが確保されており、昼間の眠気がなく、

注意力・集中力が持続し、安全に通勤ができ、療養中に業務に類似した行為を

遂行したとしても疲労が翌日まで残ることのない程度まで体力が回復していることが必要です。

これらの点について産業医は精査を行い、その結果明らかに職場復帰に必要な

準備が整っていないと判断することもあります。

このような場合主治医とさらに情報交換を密にして、職場復帰に必要な準備状態の

確立に協力してもらえる関係を作っていく必要があります。

より円滑な職場復帰支援を行う上で、職場復帰の時点で求められる業務遂行能力は

ケースごとに異なることが多いため、あらかじめ主治医に対して職場で必要とされる

業務遂行能力の内容や社内勤務制度等に関する情報を提供した上で、

就業が可能であるという回復レベルで復職に関する意見書を記入してもらうような

プロセスを踏むのもいいでしょう。

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休職の理由がうつ病など精神的な病気の場合、休職中に連絡を取ったほうがいいのか

どうか迷われる上司の方は少なくありません。

休職している方にしてみると、職場の人から何も連絡がないと、

「自分はもう要らないと思われているのではないか」と不安な気持ちになることが

多いようですので、連絡をするのは大事なことです。

もっとも、休み始めの頃など、会社や仕事のことを考えるだけで不安になる

ということもありますので、休まれている方の状況に応じて、連絡の取り方を

考える必要はあります。

休みに入る時に、休職中の連絡の取り方について決めておかれるとよいでしょう。

頻度としては、うつ病の休職の場合は月単位の休みが多いので、

1か月に1回とか、診断書の切れる頃などを目安にされるとよいでしょう。

なお、実際に連絡する場合には、原則、主治医と連絡をとった上で実施しましょう。

直属の上司の方が窓口になるのが一般的ですが、部下の方との人間関係が

こじれているなど、直接やり取りをするのに問題があるような場合は、

他の方を窓口にするような配慮が必要になります。

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うつ病の治療というとカウンセラーに話を聴いてもらうのがよいのではないか

と思う方もおられるかもしれませんが、薬物療法が治療の基本になります。

病気の程度や状態によっては、話をしたり考えたりすることが苦痛になって、

カウンセリングを受けることでかえって状態を悪くすることもありますので、

カウンセリングを受けることが適切かどうかを主治医の先生にご相談されるのがいいでしょう。

うつ病といっても、性格的な要因が大きいケースや、具体的な悩みや問題を抱えている場合など、

カウンセリングが役に立つこともありますし、休職されている方であれば職場復帰や

再発防止のためにカウンセリングが効果的なこともあります。

いずれにしても、カウンセリングを受けるかどうかについて主治医の先生と

よく話ができていること、何のためにカウンセリングを受けるのかを明確にしておかれることが大切です。

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うつ病は精神疾患のひとつですが、多くは精神病の状態にはありません。

精神病というのは、精神疾患の中でも、現実を客観的に判断できなくなる状態が

出てくることがある精神疾患に使う言葉で、統合失調症や双極性障害(躁うつ病)が

代表的なものですが、これらの疾患でも必ずしも精神病症状が顕著であるわけではありません。

うつ病は治ることが多いのですが、再発をしやすいことも知られています。

初めてうつ病にかかって再発を体験する人が6割、一度再発した人が

二度目の再発をする割合が7割、二度再発した人が三度目の再発をする割合が

9割といわれています。

しかしながら日常の思考・行動パターンの見直し(認知行動療法など)や

内服により再発防止が出来ることもよく知られています。

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1.早期発見のための体制の構築

メンタルヘルス不調を早期に発見するためには、日頃より関係者が

速やかに連携する体制を築いておくことが重要です。

まずは日頃より接している周囲の人がその人の「いつもと違う様子」に

気づくことが重要です。

その際は、勤怠状況や仕事ぶり、表情・態度などの変化に注目することが大切で、

病気かどうか判断する必要はありません。

そして早めに声をかけゆっくりと話を聞き、産業保健スタッフや社外の相談窓口への

相談を促します。

相談を受けた産業保健スタッフや外部の機関では、専門医療機関受診の必要性を判断して、

必要な場合には受診を促します。

2.日頃のメンタルヘルス対策における留意点

産業保健スタッフは、周囲の人がいざというときに適切に行動できるように、

メンタルヘルス教育やパンフレットの配布を通じて、啓発しておく必要があります。

また安心して相談できるように、個人情報保護への配慮を徹底することも大切です。

速やかな受診に結びつけるためには、周囲の医療機関とのネットワークを築いておくことも重要です。

相談窓口は、産業保健スタッフが務めれば、職場での配慮につながるなどのメリットがあります。

一方で事業場内への相談に抵抗を感じる人もいます。

そのような場合は事業場が外部のメンタルヘルスサービス機関などと契約しておけば、

相談窓口の選択肢が多くなり、相談の敷居も低くなります。

外部の機関であれば家族からも相談しやすくなります。

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企業は、労働基準法や労働安全衛生法などの労働関係法令によって、

従業員の健康管理義務を負っており、従業員のメンタルヘルス管理も

労働法制内に含まれています。

近年では業務に起因するうつ病などのメンタルヘルス不調により自殺に至り、

企業の安全配慮義務違反や社会的責任(CSR)等が問われ、

民事訴訟では非常に高額な賠償命令が出されるなど、

リスクマネジメントの観点からも企業の対応が進められています。

自殺に至る事例の増加などから、わが国ではガイドラインや法整備強化を図って

対策を講じており、主な対策強化として、平成17年10月の労働安全衛生法改正

によって「長時間労働者の医師による面接指導の義務化」がなされ、

平成18年3月に「労働者の心の健康保持増進のための指針」を公表しています。

また、同年6月には自殺対策基本法が制定されて国や自治体が取組みを始めています。

平成19年12月には労働契約法が制定され、事業者の労働者に対する安全配慮義務

(健康配慮義務)が明文化されました。

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精神科は内科などと同じように健康保険で診てもらえます。

しかし精神科の外来医療費は、最近、薬の値段が高いので、

通院が長期間にわたる場合は、医療費の負担が大変です。

その場合、自立支援医療制度の申請を市区町村の窓口にすれば、

主な精神疾患では1割の自己負担ですむようになります。

精神科の最初の診察は、内科などと違って心電図、CTなどの検査はほとんど行われず、

その代わりにこれまでの経過を詳しく聞きます。

「いつから、どんなきっかけで、このような”うつ”になったのか」といったことです。

精神科医が聞く場合もありますが、臨床心理士や精神保健福祉士などがお聞きする場合もあります。

精神科医は診察を通して助言をし、必要な場合は抗うつ剤や睡眠導入剤などを処方します。

診察と投薬だけでは不十分な場合には、併行して、カウンセリングやデイケア・ショートケアなどの

特別なプログラムを行う場合があります。

家族関係の調整が必要な場合にはケースワーカーが相談を受けることもあります。

カウンセリングなどのプログラムは、スタッフの数が少ない精神科診療所では行いにくいことから、

心理カウンセリング機関とタイアップして行っている場合もあります。

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アルコール依存症、またはその前段階であることが考えられます。

放っておかずに個人面談の場を持ちましょう。

産業保健スタッフがいる場合には、彼らと連携するようにしましょう。

面談では、本人が問題を自覚できるよう、出勤記録などをもとに、

遅刻や欠勤の頻度が客観的にわかるものを用いて話し合いを行うとよいでしょう。

問題飲酒がある場合はアルコール症の専門機関を受診していただく必要がありますが、

一方、本人が飲酒による問題を否認することもしばしばあります。

その場合、しばらく様子をみざるを得ないこともありますが、

次回、遅刻や欠勤をするなど問題行動がみられた場合は必ず受診をしてもらうことや、

家族と連絡をとるなどの約束を交わしておくことが重要です。

問題を先送りにしたり、大目にみてあげたりするのは適切でありません。

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