雇用契約
期間を定めて締結する労働契約については、その期間に
ついて一定の制限が設けられています。
(1)労働契約期間の上限の制限
長期労働契約による人身拘束の弊害を排除するため、
有期労働契約は、有期事業の完了に必要な期間を
定めるもののほかは、原則として、3年を超える期間
について締結してはならないこととされています。
ただし、
間に締結する労働契約
②満60歳以上の労働者との間に締結する労働契約
については期間の上限は5年とされています(労基法14)。
なお、人身拘束の弊害に配慮し、1年を超える有期労働契約
(有期事業の完了に必要な期間を定めた労働契約を除きます。)
については、民法628条の規定(やむを得ない事情がある場合
のほかは退職できない)にかかわらず、働き始めてから1年が
過していれば、いつでも退職することができることとされて
います(労基法137)。
(2)労働契約期間の下限の制限
労働契約の下限については一般的には制限は設けられていません。
ただし、特例として、労働者派遣の場合には、短期の派遣形態
では、派遣元・派遣先双方の役割が不明確となり適切な雇用管理が
行われにくいという理由から、労働者保護のため、雇用期間が
30日以内のいわゆる日雇派遣は一部業務等を除き原則禁止と
されています(労働者派遣法35の3)。
(3)労働契約期間についての配慮
有期労働契約においては、短期間の契約が反復更新された後に
雇止めされることに対する不安を解消するため、使用者は、
有期労働契約の目的に照らして必要以上に短い契約期間を
設定し、契約を反復更新しないよう、当初からその有期契約
労働者を使用しようとする期間を契約期間とする等、
労働者を使用する目的に応じて適切に契約期間を設定する
よう配慮しなければならないこととされています(労契法17②)。
厚生労働省~確かめよう労働条件~より
使用者としては、ハローワークでの求人票や求人情報誌の
求人広告において、求職している労働者にとって、
知りたい情報を詳しく、また、誤解ないように明確に
記載することが重要です。
このため、求人の申込みや労働者の募集を行う際に
書面交付又は電子メール等で明示すべき労働条件については、
職業安定法5条の3において次のとおり定められています。
- ①労働者が従事すべき業務の内容に関する事項
- ②労働契約の期間に関する事項
- ③就業の場所に関する事項
- ④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項
- ⑤賃金(臨時に支払われる賃金、賞与及び労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第八条 各号に掲げる賃金を除く。)の額に関する事項
- ⑥健康保険、厚生年金、労働者災害補償保険及び雇用保険の適用に関する事項
なお、労働契約を締結する際に明示すべき労働条件及び
明示の方法については、労基法15に定められています。
また、労使当事者は労働契約の内容について、できる限り
書面により確認するものとされています(労契法4)。
さらに、パートタイマー等の短時間労働者に対する
労働条件明示事項については追加事項があり、また、
派遣労働者に対する説明事項や派遣労働者に明示すべき
就業事項についても、別途定められています。
厚生労働省~確かめよう労働条件~より
採用内定について法的な定義はなく、また態様も様々ですが、
一般的には、労働者と使用者との間で一定の始期を付して
労働契約を締結した場合を言うものと考えられます。
採用内定の状態になれば、既に、労働者と使用者との間に
一定の労働契約が成立しているので、使用者の内定の取消、
または、労働者から内定を辞退することは、一方的な
契約破棄になります。
内定取消の場合には、実質は解雇としての合理的な理由が
必要です(労契法16)。
一方、内定者側からの内定辞退は、基本的に問題ないも
のの、それがあまりに信義則に反するような場合は、
損害賠償が可能な場合も考えられます。
厚生労働省~確かめよう労働条件~より