厚生労働省
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト 〜心の健康確保と自殺や過労死などの予防〜より
自殺に対して多くの偏見や誤解がありますが、「死ぬ、死ぬと言う人は自殺しない」というのは
かなり広く信じられている誤解です。
しかし、自殺した人の大多数は実際に最後の行動に及ぶ前に何らかのサインを他人に送ったり、
自殺するという意志をはっきりと言葉に出して誰かに伝えたりしています。
その「救いを求める叫び」がきちんと受け止められていなかったことが大きな問題なのです。
「自殺の危険の高い人は死ぬ覚悟が確固としている」というのもよくある誤解です。
健康な人が仮定の問題として自殺を考えてみると、いかにも自殺を考えている人は
皆死ぬ覚悟が確固としていると思いがちです。
しかし、実際に自殺の危険の高い人で100パーセント覚悟が固まっていて、
まったく平静な人などはほとんどいません。
むしろ、自殺の危険の高い人は生と死の間で心が激しく動揺しているのです。
絶望しきっていて死んでしまいたいという気持ちばかりでなく、生きていたいという
気持ちも同時に強いということです。
まさに、この点に自殺予防の余地があります。
「自殺について話をすることは危険だ。自殺を話題にすると、その危険のない人まで
自殺に追い込んでしまいかねない」というのも誤解です。
自殺を話題にすると「寝ている子を起こす」ことになりはしないかという心配をしばしば耳にします。
しかし、自殺を話題にしたからといって、自殺の考えを植えつけることにはなりません。
自殺したいという絶望的な気持ちを打ち明ける人と打ち明けられる人の間に信頼関係が成り立っていて、
救いを求める叫びを真剣に取り上げられるならば、自殺について率直に語り合うほうがむしろ
自殺の危険を減らすことになります。
自殺について言葉で表現する機会を与えられることで、絶望感に圧倒された気持ちに対して
ある程度距離を置いて冷静に見ることも可能になるのです。